ソーシャルワーカーのブログ

ほぼ新人ソーシャルワーカーの日々

医療ソーシャルワーカーの実習 -体験談-

*医療ソーシャルワーカーになるには「社会福祉士」の資格を取ることが必要だと、以前のブログでお話しました。今回は、「社会福祉士」の国家資格を受けるための受験資格である「実習」についてお話ししたいと思います。

 

①実習の規定

ソーシャルワーク実習は相談援助業務の一連の過程を網羅的かつ集中的に学習できるよう、1つの実習施設において180時間以上行うことを基本とすること

ア ソーシャルワーク実習は機能の異なる2ヶ所以上の実習施設で実施すること。

イ 180時間以上の実習を行う機関、事業所については相談援助業務の一連の過程の学習に加え、複数の機関、事業所や地域との関係性を含めた包括的な支援について学習すること。※出典:厚生労働省「大学等において開講する社会福祉に関する科目の確認に係る指針について」(令和2年3月6日発行)より

上記は私が大学を卒業してからの規定になります。

私は1か所、180時間以上の実習を行いました。令和6年度からは実習時間が240時間以上のカリキュラムになるとネットで見ました。180時間でも長いなと感じていましたが、60時間増えるということで更に長くなるのか...という印象です。時間が増える分、充実したものになると良いなと思います。

 

②実習に行くまでの道のり

私は上記でお話したように、1か所行きました。実習先は病院でした。私は大学に入る前から医療ソーシャルワーカーになりたい!と思っていたので、実習するなら病院しかない!と思っていました。

私の通っていた大学では、病院に実習に行くのは難関とされており、先輩からは「病院実習は厳しいよ」「なかなか行ける人はいないよ」とさんざん言われました。病院に実習に行くにあたり、知識がないと実習に行っても実習先の指導者から厳しく指導されるので前提として「成績が良い」ことがセオリーとなっていました。

私は病院に実習に行くことしか選択肢が無かったので、テスト勉強を頑張ってなんとか成績を良くしようと頑張りました。その結果、なんとか病院実習に行くことができました。

 

③実習の様子

私が行った実習先は慢性期病院でした。指導して下さった方は10年以上ソーシャルワーカーとして働くベテランでした。

1日の流れとしては職員の出勤時間に合わせて実習生も病院に行き、朝礼に参加。ベッド状況の確認をしたり、指導者や他のMSWが電話対応していたらその内容を注意深く聞いたり、分からない専門用語が出てきたら調べたりしていました。

基本は指導者の横に居て、持参した参考書を見て勉強したり、たまに指導者から課題を貰うので、その課題に取り組んだりしていました。

具体的な課題:介護保険制度について、患者家族から質問があったと仮定して、シュミレーションを行いました。

家族に介護保険制度について正しく、分かりやすく伝えることを大切にするよう指導頂きました。加えて、家族から質問があっても、その場で答えられなかった場合の回避方法についても教えてもらいました。それは「資料をもとにご説明するのでお待ちください」と言ってその場から一旦離れて調べるということです。このように対応すれば正しい情報を伝えることが出来るし、家族に不信感を与えなくて済みます。

良いこと、学びを多く感じた実習でしたが、医療ソーシャルワーカーの大変さを実感する機会でもありました。

 

④医療ソーシャルワーカーの役割

医療ソーシャルワーカーの大変さを実感した出来事は2点です。

1.ベッドコントロール

2.他職種との関わり

まず、1点目のベッドコントロールからお話します。

毎日、ベッドの状況を確認していますが、他職種や院長などが出席する朝礼でベッドがどれくらい埋まってないか、医療ソーシャルワーカーがプレッシャーを掛けられる場面がありました。実習前からベッドコントロールが医療ソーシャルワーカーにとって大切な役割だと理解していましたが、実際にベッドを埋めるように言われている指導者方を見て、なんとも言えない気持ちになりました。患者さま、ご家族のためだけではなく、ベッドを埋める=経営を支えるという大きな役割を担っているのだと感じました。

続いて2点目の多職種との関わりについてですが、医療ソーシャルワーカーは関わる人がとにかく多いです。患者さま、ご家族への支援を円滑に進めるために他職種とのコミュニケーションをうまくやっていく必要があります。加えてベッドを埋めるために、病棟Nsにうまく交渉して入院を受けてもらう必要もあります。仕事を円滑に進めるために他職種との関係性が鍵になるのだと感じました。コミュニケーションが苦手だと感じている私にとって、最も高いハードルだと感じました。

 

⑤実習終了!

無事に実習日程を終えて、スッキリ!と思いきや、終わらないのが実習です。

今度はゼミへ自分が学んだことを持ち帰り、意見や情報交換を行います。そして一つのテーマを決めて発表資料を作成します。

他ゼミ合同で「実習報告会」を開催し、大学の先生方や後輩、実習指導者の前で発表するのです。

長い時間をかけて、ゼミの時間以外にも皆で集まり、発表資料を作成しました。なんだかんだ、この発表資料作成が結構大変だった記憶があります。

報告会当日、私の実習指導者が来て下さり、「良く出来てる」と言ってくださったのが嬉しかったです。

 

*以上が私の実習体験談でした。毎日決まった時間に出勤して1日過ごすということ自体、疲れることですし、大学生の私にとって緊張感のある日々でした。毎日働くってこういうことなんだ...と実感しました。④でお話したように医療ソーシャルワーカーが担う役割について実体験として学べたことはとても良かったと感じています。実習に行ったからこそ、見て、感じて、考えて、が出来たのではないかなと思います。

社会福祉士を取得にするにあたり、必要になる実習についてお話してきました。私は実習に行ったことで、医療ソーシャルワーカーになる上での覚悟みたいなものを持てたかなと思います。実習は学ぶ機会ですが、働く前の体験であるとも思います。もし、記事を読んでくださっている方で、これから実習に行く、もしくは社会福祉士の資格を取ろうと思っている方は、学ぶことだけでなく、その職業が自分に合っているのか、自分はどのような所で働きたいのか、という視点も持つと良いのではないかと思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました♪

 

医療ソーシャルワーカー(MSW)の一日

*医療ソーシャルワーカー(MSW)と聞いて、どんな仕事、どんな一日を過ごしていると思いますか?「患者さんの相談に乗っている」「事務的な仕事をしている」などイメージをお持ちの方がいるかもしれません。ですが、実際に働いてみると、イメージとは違ったことが沢山あります。私自身、働いてみてイメージと違ったところがありました。

今回は医療ソーシャルワーカーの具体的な仕事内容を、とある一日を通してお話してみたいと思います。

 

《医療ソーシャルワーカーの一日》

※日によって一日の流れは全く違うので、今回お話しする一日は一例として考えて頂けると幸いです!

 

9:00 業務開始 ・・・電話が一斉に鳴るので、電話対応に追われます(・・;)

電話対応しながら、事務的な作業をしていきます。事務作業はメールの確認、台帳(患者さまのデータが入っているものです)整理、電話対応した記録の作成、郵送されてきたものの確認などです。

10:30 面談 ・・・入院前の患者さまのご家族と面談を行います。コロナ感染が広がる前は直接お会いして面談し、見学を行っていました。現在はコロナ感染対策で、電話にて行っています。基本的には1時間ほどで終了します。面談の内容としては、患者さまの病状についてご家族が把握されているか、今までの既往歴(これまで病気にかかったか、入院、通院歴があるか)を伺います。また病院の入院費用や入院時の持ち物について説明します。

☆面談の際に患者さま、ご家族のこれまでの生活歴やキャラクターを把握して、入院した後、どのように支援できるか想像することが大切です!

11:30 面談の内容をまとめる ・・・収集した情報を整理して、記録に残したり、フェイスシート(患者さまの情報を1枚のシートにまとめたもの)を作成します。

13:00 お昼休憩 ・・・私はこの時間にお昼休憩に行くことが多いです。12:00から休憩に行くことはできますが、電話対応などしていると行けないことが多いです。緊急対応があると、お昼を食べられなかった、ということもあります。自分でスケジュール管理をしてお昼を食べられるようにコントロールすることが大切です。

14:00 入院相談を受ける ・・・他の病院から入院相談の電話が入りますので相談を聞きます。どこの病棟への相談なのか、自分の病院で対応出来そうか、ご家族は協力的か、など考えながら、先方病院の相談員さんのお話を聞きます。入院相談を受けるのは"慣れ"が重要です。知識を得たり、先輩からアドバイスを貰ったりすることは大切ですが、入院相談を繰り返し受けることで慣れて、効率的に情報収集出来るようになります。入院相談の電話はいつ来るか分からないものなので、受け始めた当初は緊張でいっぱいだった思い出があります。

15:00 退院支援を行う ・・・担当している患者さまの退院支援を行います。自宅退院であれば、退院後に必要な環境調整。施設への入所であれば患者さまやご家族の希望条件にあった施設の紹介。他の病院へ転院調整を行うときもあります。

私が以前、担当させていただいた患者さまの場合ですが、透析をされていたので自宅退院後に通う透析クリニックを探して、通院できるように調整しました。自宅環境についてはリハビリスタッフさんにご本人の身体状況にあった福祉用具など提案してもらい、その情報を患者さまの担当ケアマネージャーに共有しました。ご家族から自宅退院にあたって不安な点を伺い、「透析のため、どのような食事を本人に食べて貰えば良いか分からない」とのことだったので、管理栄養士さんに入院中の食事管理方法や透析の患者さま向けの栄養管理の情報をまとめてもらいました。簡単にまとめるとこのような流れで退院支援を行っていきます。

☆相談員は、患者さまやご家族と他専門職との橋渡し的存在になります。患者さま、ご家族が安心して自宅に退院できるように不足がないように調整していく必要があります。

16:45 夕礼 ・・・相談員間でベッド状況について共有します。毎日、退院や入院がありベッド状況は目まぐるしく変わっていきます。私が働いている病院では緊急入院(体調が悪くてすぐに入院が必要な患者さまを受け入れること)を受けているので、どの病棟のベッドがどれくらい空いているのか、男性なのか女性なのかなど把握しておく必要があります。

17:00 終業 ・・・業務時間は終了です。ですが、業務時間内で終わらなかった記録の作成などあるので、なかなか17:00ぴったりに帰ることが難しいです(;>_<;)

 

以上、私のとある一日のご紹介でした!書かせていただいた他にもMSWは様々な業務を行っています。病院によってMSWに任されている役割が異なったりします。自分が働く病院でMSWに何が求められているのか、患者さまやご家族にどのような支援をしていくか日々考えながら過ごしていく仕事だと思います。

MSWがどのような仕事をしているのか少しでもイメージがわいていただけたら嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

医療ソーシャルワーカー(MSW)になる方法

*医療ソーシャルワーカー(MSW)とは、医療機関で入院患者や、その家族の社会的、金銭的相談に乗り、解決に向けて一緒に考える人のことをいいます。

筆者は現在、医療ソーシャルワーカーとして働いていますが、学生時代はどのように医療ソーシャルワーカーになれるのか、明確には分かっていなかった記憶があります。

今回は医療ソーシャルワーカーを目指す方、医療ソーシャルワーカーとは何なのか知りたい方に向けて、実際に筆者がどのように医療ソーシャルワーカーになったのかお話したいと思います。

 

①医療ソーシャルワーカーになるための資格

医療ソーシャルワーカーとして働くためには「社会福祉士」という資格が必要になります。

社会福祉士」とは、『専門的知識および技術をもって身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者、または医師その他の保健医療サービスを提供する者との連絡および調整、その他の援助を行うことを業とする者』のことを言います。※社会福祉士及び介護福祉士法より抜粋

つまり、医療機関の専門職や、福祉サービスを提供する専門職等と協力して、身体的・精神的・環境の理由によって悩む人をサポートしましょう、という職業です。

社会福祉士を取得し、病院などの医療機関に勤務することで、医療ソーシャルワーカーとなることができます。

ただ、これは基本的なことであり、社会福祉士を取得しなくても、医療ソーシャルワーカーにはなれます。理由は、社会福祉士は業務称独占ではないからです。(業務独占とは:医師のように、医師免許を取得していない者は医療行為を行ってはいけない等、その資格を持っている者だけが、その仕事ができるということ)実際に筆者が働いている職場では社会福祉士を取得せずに医療ソーシャルワーカーとして働いている同僚がいます。

ですので、厳密に言うと社会福祉士は取得しなくても医療ソーシャルワーカーにはなれますが、多くの医療機関は医療ソーシャルワーカーの募集で「社会福祉士資格取得」を条件にしていますので、社会福祉士を取得したほうが医療ソーシャルワーカーになりやすいかと思います。

 

②実習について

筆者は4年制の大学に進学し、医療ソーシャルワーカーになるために勉強をしました。社会福祉士国家試験を受験するには、実習をしなければいけません。

病院、社会福祉協議会や老人施設、障害者施設、就労支援施設、行政、児童養護施設など様々な分野の実習先があります。

筆者が進学した大学では、分野ごとにゼミが分かれており、大学2年生の時に、どの分野を希望するか提出し、3年生になると分野ごとにゼミ分けをされます。筆者は大学に入学する前から医療ソーシャルワーカーになる!と決めていたので、ゼミは医療分野を希望し、無事に医療ゼミに入ることができました。そして、3年生の時に病院へ約1ヶ月間、実習にいきました。実習での様子については、また別の記事でお話したいと思います。

実習が終了し、他のゼミ生と学んだことを共有したのですが、実習先によって学ぶことは違いますし、実習先の指導者によっては、充実感が違ったようでした。実習後に福祉とは何なのか思い悩み、医療ソーシャルワーカーの道は歩まないことを決めた友人もいました。

筆者は実習指導者に恵まれ、実習を経験したことで更に「医療ソーシャルワーカーになりたい」という気持ちが大きくなりました。

無事に実習を終えて、つぎの段階に進んでいきます。

 

③国家試験

実習が終わり、本格的に国家試験の勉強をしていきます。社会福祉士の合格率は31.1%(2022年度)です。※厚生労働省ホームページより抜粋

平均的に25%~30%を推移していると言われています。

計画的に勉強しないと、合格は難しいというイメージをもっていただければと思います。ですが、計画的にしっかり勉強すれば合格できる可能性がある資格とも言えます。

大学の先生からは、「過去問3年分を3回解きなさい」と何回も言われました。過去問を解き、一つ一つの選択肢の解説を読み、分からないところは調べる。そして一つの参考書をベースにして、新たな知識を書き足していく。それを繰り返すという勉強方法を実践していました。

過去問3年分を3回解くことはできませんでしたが、無事に社会福祉士国家試験に合格することができました。詳しい勉強方法については別の記事でお話できたらと思います。

 

④就職活動

大学3年生の春(3月頃)から就職活動を始めました。医療ソーシャルワーカーになるべく、医療機関の募集を探したり、各地で行われる合同説明会に行ったりしていました。

筆者が現在の職場に就職するきっかけとなったのは、合同説明会で現職場の職員から話しかけられたことです。たまたま話しかけてくださったのが病院の職員で、そのままの流れで、紹介ブースに伺い、詳しい説明を聞きました。

そして、「見学をしてみてはどうか」とお誘いいただき、見学。面接を受けることになり、面接を受けて無事に内定をいただきました。内定をいただいたのは大学4年生の6月頃だったと記憶しています。

たまたま話をしたところから、就職することになったので、話しかけてくださった方には感謝しています。

 

⑤医療ソーシャルワーカーとして働く日々

現在、病院で医療ソーシャルワーカーとして働いています。具体的な仕事内容は、

・入退院ベッドコントロール

・患者の病状変化があった際に、他医療機関に打診をして搬送まで繋げる

・入院患者、家族の相談に乗る

・退院支援(自宅退院、施設入所に向けて他職種と協力する)

主に上記4つになります。他にも他医療機関からの電話対応や、データ管理などの事務作業を行っています。

日々、決まったことをするのではなく、様々なことが起きて常に考えながら業務を行う職業だなと感じます。それゆえに学ぶことも多いです。医療ソーシャルワーカーとしてだけでなく、人として成長できる職業だと思います。

 

*最後に

医療ソーシャルワーカーは、社会福祉士を取得し、病院などの医療機関に就職することでなることができます。

ですが、医療ソーシャルワーカーとして働くには、様々な知識や技術が必要になります。その点は、別の記事でお話したいと思います。

今回は医療ソーシャルワーカーになる第一歩についてお話させていただきました。あまり聞き馴染みのない職業かと思いますが、とても大切な職業です。この記事で医療ソーシャルワーカーについて興味、関心を持つ方が一人でも増えたら嬉しいです。

ここまでご覧いただきありがとうございました♪